こんにちは!まる5日間、外に出ていないほしの恭世です。
2020年5月5日にノード軸(ドラゴンヘッド/ドラゴンテイル)が蟹座ー山羊座の軸から、双子座ー射手座へと移動しましたね。
このノード軸、いろいろな読み方があって一筋縄では読めないのですが。星を読む上では見逃せない大切な部分だなぁとわたしが感じているポイントでもあります。
ノード軸は、ネイタルチャート(出生図)だけでなく社会的にも影響してきます。
この機会に、ノード軸とはなんぞや?という話を由来からぐぐっと掘り下げていきたいと思います!
ノード軸とは何か?
ノード軸、つまりノースノード(ドラゴンヘッド)&サウスノード(ドラゴンテイル)は、太陽の通り道である横道(太陽の見かけ上の通り道)と月の通り道である白道が交わる点を結んだ軸のことを言い、この交点のそばで起こる新月が日食、満月が月食となります。
ノード軸は、およそ18年6ヶ月(それ以上の場合もあります)で12サインを一周して、ひとつのサインにおよそ1年半滞在し、他の天体と逆向きに進んでいき(逆行)、ノースノード(ドラゴンヘッド)とサウスノード(ドラゴンテイル)は、常に180度(オポジション)の関係になります。
ノード軸の計算方法は2通り
聞いたことがある方もいるかもしれませんが、ノード軸には、トゥルー(真位置)とミーン(平均値)という2つの出し方があります。
トゥルーは、実際の横道と白道の交点を出したもので、ミーンは平均値での値です。
今はコンピューターなどで実際の交点の位置が簡単に出せるので、トゥルーを採用されている占星術師の方が多いようですが、月の軌道が細かく変わるので、占断にはミーンで十分だという方もいますし、古典的な占星術ではミーンが使われるため、通常の占断にはミーンを使用されている方もいらっしゃるようです(わたしは、現在のところトゥルーを採用しています)。
ノード軸のもともとの意味と考え方
ノード軸は、天体ではありませんが、特にインド占星術では天体同様、とても重要なポイントとして読まれます。
通常、わたしがノード軸についてお話するときにつけている解説では下のように書いています。
ノード軸とは、月と太陽の軌道が交わるポイントを結ぶ軸のこと。ノースノード(ドラゴンヘッド)&サウスノード(ドラゴンテイル)とも呼ばれ、ノースノードは果たすべき使命を、サウスノードは過去に慣れ親しんだものを表すと言われています。
インド占星術ではどうなのかというと下のようなことが象意としてあるようです(本多信明さんの本を参考にさせていただきました)。
ラーフ(ノースノード/ドラゴンヘッド):あくなき現世的欲求、カルマの源になる煩悩
ケートゥ(サウスノード/ドラゴンテイル):煩悩を消す解脱、解脱を得るための禁欲、深い精神性
インド占星術では、この二つのポイントを天体と同様に扱いますが、どちらも凶星として扱われ、在室するサインによってその出方が強まるか弱まるかという読み方をするようです。
そして、いずれも、社会的秩序からはみ出した部分という読み方をするようですが、そういった「はみ出した」部分と、このラーフの「あくなき現世的欲求」というところが、西洋占星術では「現世で果たすべき使命」として扱われるようになった要素のひとつでもあるのではないかと思われます。
ちなみに、伝統的な占星術においては、ノースノード(ドラゴンヘッド)は吉星(金星・木星と同等)として、サウスノード(ドラゴンテイル)は凶星(火星・木星)として扱われています。
西洋の宗教であるユダヤ教、キリスト教ではもともと人の生まれ変わりはないとされているため「前世」という考え方を異教とすることから、現代の占星術では、あまり扱われなかった概念なのですが、伝統的占星術においては使われていたというところが非常に興味深い点ですね。
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カルマ(宿命)との関係
先述の通り、肉体がなく魂やその精神性が引き継がれ生まれ変わっていくという考え方が、西洋では受け入れられなかったため、現代の西洋占星術ではノード軸が重要視されなかった期間がありました。
その後、インドの思想が入ってきて輪廻転生とカルマ(宿命/業)の概念が受け入れられるようになり、現在のノード軸の解釈が採用されはじめたようです。
ノード軸とカルマは切り離せない要素ですので、その関係について掘り下げてみましょう。
カルマとは、サンスクリット語で「行為」という意味、そしてその「行為」の蓄積から生まれる「宿命」です。
つまり、カルマの法則とは「過去に行った行為(カルマ)は、良い行為(カルマ)でも悪い行為(カルマ)でもいずれ自分に返ってくる」といういわゆる因果応報の法則のことです。
では、カルマとは何か?ヴェーダ哲学におけるカルマには下の4つがあります。
- サンチッタ・カルマ:過去世において行った行為の結果が蓄積されたすべてのカルマ
- プララブダ・カルマ:サンチッタ・カルマの一部で、現在の生で経験するカルマ
- クリヤマナ・カルマ:自由意志で行動しようとするカルマ
- アーガミ・カルマ:未来において行動を起こそうと計画するカルマ
(本多信明さんの参考図書より引用させていただきました)
そして、これらのカルマの最初の2つがケートゥ(サウスノード/ドラゴンテイル)と関わりがあり、後の2つがラーフ(ノースノード/ドラゴンヘッド)と関わっていると言われています。
単純に、サウスノード=過去世から持ち越したもの、ノースノード=現在の生で果たすべき使命という風に考えると、自分が未来に向かってやらなければならないことだと考えがちですが、そうではないということがこれでわかります。
現在の生で経験するカルマ(プララブダ・カルマ)は、過去世で蓄積されたカルマ(サンチッタ・カルマ)に含まれていて、現在の生でも過去世の追体験をする場合があるわけですね。これが過去世で達成できなかったことや未精算の過去と言われたりする由来です。
そして、わたしたちが現在の生で果たすべき使命は、そういった過去世での経験を元に、自分の意志で動き、未来を見据えて行動を起こすという自分たちで創造していける部分が含まれていて、これがノースノード(ドラゴンヘッド)が「現世で果たすべき使命」を表すということになるわけです!
今生きている自分が、魂の成長の長い物語の一部だと考えると、過去世での経験を持って現世に生まれ、現世での経験を持って来世へと旅立つ。この繰り返しをして、ひとつの「魂」というものが磨かれていくことになります。
生まれ変わりというものがあれば…ということになりますが、仏教やヒンドゥー教は古代インドで生まれていますから、東洋的な思想が根付いているわたしたち日本人には、受け入れやすいのではないでしょうか。
ノード軸からわかること
このノード軸が伝統的占星術では、使われていたにもかかわらず、現代的な占星術で重要視されていなかった時代がある理由は、西洋占星術の天体の象意が西洋の神話と関連しているのに、このノード軸についてはインド神話がもとになっているためだと、ケヴィン・バーグさんは著書「占星術完全ガイド」に記されています。
元になったインド神話「乳海撹拌」の概略はこんな感じです。
呪いをかけられ力を失った神々が、不老不死の薬であるアムリタを飲めば力を取り戻せるとアムリタを作り出すため乳海撹拌をすることに。しかし、撹拌する力が足りなかったため、アムリタを分け合うことを条件にアスラ(悪魔)と協力して、アスラの仲間であるラーフという竜の姿をした魔族を縄のように巻き付け、それを他の神々と悪魔たちが協力して乳海を撹拌した。
最後にアムリタをもった医神ダヌヴァンタリ(アーユルヴェーダの神様)が現れた。神々が飲むときに、ラーフがアムリタをこっそり飲んだため、それを太陽神スーリヤと月神チャンドラがヴィシュヌ(インドの三大神のひとり)に告げ口してしまったため、ラーフは首を切られてしまった。
ラーフは首から上が不死の身体となり、こっそり飲んだことを告げ口したことを恨んで太陽と月を食べる(日食・月食)ようになった。ラーフは、切り離されたもう片方の体(尾)ケートゥとともに、凶を伝える星となり、ドラゴンヘッドとドラゴンテイルと呼ばれるようになった。
ちなみに、インド占星術では、ラーフもケートゥも凶星(星ではないが星としてあつかわれている)とされ、在室するハウスの作用によって作用が強まったり弱まったりするとされています。
インド神話の概念がなかった西洋占星術では、どのように解釈されていたかというと、月と太陽の通り道の交わるポイントであることから、月と太陽の象意が交わる場所という考え方が採用されました。「占星術完全ガイド」から引用させていただきますね。
ノードは月と太陽のアスペクトを本質的に結びつけているポイントである。(中略)月は太陽の光を反射する。月は受動的、需要的、女性的である。月は反応し、感情や気分を作り出す。月はわたしたちの経験の貯蔵庫であり、太陽の表現に対して形態と場所を提供する。月は条件づけ、習慣、悪習、学習によって身についた反応と関連する。要するに月は記憶装置である。また、月はわたしたちに魂が過去に経験した他の人生を思い出すよう求める。月はわたしたちの無意識であり、下意識である。
太陽は、わたしたちの意識、活動、生命力である。また、意志、力、目的意識でもある。太陽はわたしたちの経験の核心となるものであり、この生涯を生きる動機となるものだ。太陽はわたしたちがどのように物事を見るか、いかにして表現し、自分自身を打ち出していくかと関連している。また、人生でどのようにして英雄になることを求め、個を確立することをいかにして求めるかも示している。
(中略)ノードが表しているのは、わたしたちの過去の魂の記憶(月)がわたしたちの現在の意識的経験と交差し、またわたしたちの現在の課題と成長の周期と交差する場所だということになる。
サウスノード(ドラゴンテイル)は、太陽の通り道である横道の下へ沈み過去(魂の記憶)へと向かう場所であり、ノースノード(ドラゴンヘッド)は、横道の上へ向かい太陽がこれから果たそうとしている目的意識に過去の学びがコンタクトする場所ということになります。
上記の引用でも過去の魂の記憶という文言が出てきていますので、生まれ変わりがある前提になっていますが、それを抜きに考えても、感情や無意識、経験による記憶、過去の学び(月)と意志や目的意識、気づき(太陽)がひとつになり、行動を起こしていくよう促されるポイントだと考えることができます。
このことから、ノースノード(ドラゴンヘッド)は、人が大衆(世間)に与える影響、人との縁などに関わりがあると読むこともできると言えますね。
ネイタルチャート(出生図)の中のノード軸(ドラゴンヘッド/ドラゴンテイル)からわかることは…
- 過去世での経験、慣れ親しんだこと、学び(サウスノード/ドラゴンテイル)
- 過去世で達成できなかったこと(サウスノード/ドラゴンテイル)
- 現世で果たすべき使命(ノースノード/ドラゴンヘッド)
- 人が大衆に与える影響、人との縁(ノースノード/ドラゴンヘッド)
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ノード軸が社会に与える影響は?
では、そのノード軸が社会に与える影響を考えてみましょう。
太陽と月は、個人のネイタルチャート(出生図)を読む場合は、太陽が目的意識であり、月が無意識や感情を表しますが、社会全体の情勢を読む場合は少し変わってきます。
太陽:政府・権力者・権威者・支配者・国家元首など
月:社会のもつ気分・大衆心理・民衆・動揺・人気など
これらが交わる点ですから、国の持つムード、人々の心理や流行などを表したりすることになります。
ノード軸が与える社会的な影響:国の持つムード・人々の心理や流行など
ノード軸のテーマを行き来しながら学んでいく
先ほどのカルマ(宿命)との関係というところでも触れましたが、過去世でやってきたことだから現世ではやらなくてよくて、現世で果たすべき使命は決められているのかというとそうではありません。
ノースノード(ドラゴンヘッド)とサウスノード(ドラゴンテイル)は、常に180度の関係であり、対抗するサインにそれぞれ滞在するわけですから、この軸が扱うテーマには必ず共通点があります。
ネイタルチャート(出生図)全体を見たときに、過去世で経験したことを現世でまだまだやる必要がある場合や、現世での使命を果たすための足がかりを見つけている場合もあります。
また、現世での使命を果たすための足がかりを見つけていたとしても、過去世の経験を追体験する場合もあります。
わたしたちは、過去の記憶と未来への意識を行ったり来たりしながら、生涯を生きていくのです。別の言い方をすれば、過去の記憶を通して未来を見ながらその使命を果たしていくとも言えます。
そして、社会もノード軸の2つのサインのテーマを行き来しながら新たな未来へと向けて変わっていきます。
そのテーマに関する何らかの問題点(サウスノード/ドラゴンテイル)に人々が注目し、反対側のテーマ(ノースノード/ドラゴンヘッド)と行き来しながら社会全体が模索をする。そして、その結果、問題となったテーマに関する新たな解決策(新しいサウスノード/ドラゴンテイル)が生まれます。
それを持って、また12サインを一巡りした後に、新たな経験を持って同じテーマ内の問題点(サウスノード/ドラゴンテイル)へと引き継がれていくのだと思います。
ネイタルチャート(出生図)と星ぞらの影響
ちなみに、ネイタルチャート(出生図)では、ひとつの軸におよそ1年半滞在しますから、サインだけでなくハウスも重要視されます。
また、ネイタルチャート(出生図)の場所にノード軸が返ってくるおよそ18年6ヶ月ごとのノードリターンや、その半分であるおよそ9年3ヶ月ごとにやってくるハーフリターン(リバースノードリターン)は、人生における節目のような体験をする場合が多く、空を運行する星との関わりでも自分のノード軸が刺激される場合があります。
現在の皇后陛下である雅子様は、即位礼正殿の儀の時、ほぼぴったり1度も違わないノードリターンを迎えてらっしゃいました。
他にも、イギリス王室はノード軸と深い関わりのあるチャートを持っている方が多く、ノード軸や触の周期と王室のイベントが多く関わっているそうですよ。
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